とある自治体さんが、再生可能エネルギーを推進する事業の中で、再エネフェア的なお祭りイベントを開催することになり、事業者さんとチラシ作りの会議が行われた時のお話です。
その事業者さんは、イベントの運営含めて委託を受けている事業者さんです。
事業者さんは、イベントの主旨や内容をヒアリングし、その情報を基にA4判のチラシの素案を作成し、この会議に出しました。
私はチラシに必要なイラストの作成やマーク、レイアウトなどの相談をその事業者さんから個人的に受けていたので、その会議にもリモート参加させていただいていたわけです。(黙って聞いているだけですが)
私がイメージしていた打合せの展開は、
事業者さんがチラシの案を出して説明→イベントに集客するペルソナ想定、集客規模の想定、イベントにおいて何を伝えるのか。。。などなどの打合せになるのかと思っていました。
しかし、その打合せの内容は・・・
「ここのイラストは無しが良いと思う」・・・とか
「ここのタイトルをもう少し小さくしたい」・・・とか
「この文字の色を赤くする」・・・とか
「タイトルの文字がどれがいい」・・・とか
「配置がどうの」・・・とか
「もっと子供さんにも来て欲しいのでここをイラストに」・・・とか。。
レイアウトの専門でも無い担当者と、あーでも無い、こーでも無いと事業者が作成したチラシのレイアウトについて担当部署で話を始め、事業者の担当者も様々出てくる感想や意見をなんとかとりまとめ、その内容を反映させるために必死に修正箇所をいじるなどの打合せが終始行われ、最終的に再度修正をして提出。という形で会議が終了しました。
え?
このチラシづくり。。。。担当者のイメージや好みに合わせるためにつくってます?
と思わざるを得ない内容でした。
そもそも、
このチラシ作り、何のためにつくるのか。
このチラシでどんな効果を得たいのか。
がポイントなのでは?
その観点で、内容を吟味することが一番大切なのではないでしょうか?
チラシがつくりたい訳ではないですもんね。
チラシでイベントの内容を事細かく説明したい訳でもないですもんね。
集客の手段(戦術の一つとして)チラシをつくるんですよね?
顧客心理は、担当者や担当部署の想いをいっぱい詰め込めれば伝わる。
なんていう簡単な話では無いのです。
担当者の想いとしてこのチラシでイベントの内容をしっかり伝えたい!
という気持ちはよくわかりますが、チラシはそのイベントの内容を説明するパンフレットではありません。
「なんだろう」「面白そう」「楽しそう」「美味しそう」など、
そのイベントにわざわざ時間を割いて行ってみようと思える情報や演出が一番大切な部分です。
イベントの詳細までは記載する必要が無い。という言い切っても過言ではありません。
「行ったら楽しそう、有益そう。でも行かないとわからない!」といった心理状態でしょうか。
こういったことは販促の現場では珍しいことではありません。よくあるボタンの掛け違いです。
ある2つの工務店さんが、見学会のイベントを行う際に、チラシを作成して周辺地域にまきました。
工務店さん(A社)のチラシには、建物のこだわりや、細かな仕様、価格帯まで記載されてそれは紙面いっぱいに親切丁寧に情報が入っています。
一方、工務店さん(B社)の、チラシに素敵な建物の写真をメインにして、開催日とそれってどんな建物なのだろう?というコピーが添えられている行ってみないと詳細がわからない謎を残した情報だけ記載されているシンプルなチラシです。
この両者のチラシで現地に行って詳細を確認してみたいと思うのはどちらでしょうか?
A社のチラシは、わざわざ時間を割いて見にいかなくても、チラシを見てある程度判断が出来ます。
といっても見る側のいままでの経験値や体験からの自己判断での解釈になりますが。
(紙面いっぱいに細かく情報が入っていて見たくないというのもあります)
一方、B社のチラシでは、チラシ上では全ての情報が入手出来ないため行ってみないとわからない、行って本物を見て確認したい。
という心理が働きます。
目的は「理解」ではなく「集客」ですからどちらが好ましい内容か考えてみてください。
チラシは、「内容を細かく伝える」ことよりも、「行ってみたくなる情報や表現はどうすれば良いか」のほうが重要なのです。
参考になれば幸いです。